FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」


1 | 2 | 3 | 4 | 5  

NZドルと英ポンド、不人気度が拡大

外国為替市場ではニュージーランド(NZ)ドルや英ポンドの見通しが相変わらずさえない。米ドルの悲観予想が和らぐ中、NZの金融セクターや英住宅問題への懸念が相対的に強まったためだ。英、NZともに金利水準の高さが実体経済にマイナス視されるケースも多い。

 NZでは29日発表の6月の住宅建設許可件数が前月比でさらに20.1%も減少。景気後退の局面入りは避けられないとの見方が膨らんだ。NZ準備銀行(RBNZ、中央銀行)が24日、政策金利を0.25%引き下げて8.00%にしたため住宅ローンの基準金利も低下傾向だが、まだ高水準とあって効果は限られそうな気配だ。さらに前週以降、複数のNZ系金融会社に経営悪化説が浮上した。

 市場では「RBNZは2009年後半までに最低0.75%、状況次第では1.00―1.25%の追加緩和に踏み切る」(豪州系銀行のエコノミスト)との読みが出ている。その過程でのNZ経済の立ち直り度合いにもよるが、日本の個人投資家など利回り重視型の資金のNZドル志向もそれなりに緩むことになろう。

 英国では英中銀イングランド銀行(BOE)が29日発表した6月の住宅ローン新規承認件数と英産業連盟(CBI)算出の7月の小売販売指数がいずれも過去最低を更新。英住宅価格の低迷が続いているにもかかわらず需要は伸びず、銀行の融資基準の厳格化も重なって問題に解決のメドはたたない。影響は関連商品を中心に個人消費全体に及んでいる。エネルギー価格の上昇も依然として逆風だ。

 米サブプライム(信用力の低い個人)向け貸出関連の損失処理でも英金融機関は米国勢に出遅れた印象が濃い。米証券大手メリルリンチが今週、合成債務担保証券(CDO)の「安売り」を決めたことで状況は厳しさを増した。

 またNZは産業基盤や資源の面で他国に見劣りするほか、英国もユーロ圏に比べると自動車や航空機、ハイテクといった「大型」分野の土台がぜい弱だ。外需頼みにも過度には傾けない。金融政策の手綱さばきの難しさなども考慮すると、通貨の人気回復までの道のりは相当険しそうだ。(今 晶)

2008年7月31日(木)12:03 個別ページ

豪ドル、試される「調整抵抗力」

外国為替市場ではこのところオーストラリア(豪)ドルの上値が切り下がっている。日本勢や欧米投機筋などの買い持ち高が膨張気味だった分、悪材料への抵抗力が衰えたようだ。
 豪ドル・米ドル相場は28日に一時1豪ドル=0.9520—30米ドル付近と、15日に付けた直近ピーク値で23年ぶりの豪ドル高水準である0.98米ドル台半ばよりも0.03米ドル程度売り込まれた。高値更新の反動が生じたところで23日、隣国ニュージーランド(NZ)の大手金融会社ハノーバー・ファイナンスの経営不振説が浮上。NZと関係の深い豪銀行セクターにも悪影響が及ぶとの懸念が広まった。
 さらに前週末、豪最大手銀ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が米住宅ローン関連証券の損失拡大に備えていると報じられたことも響いた。企業や政府の信用リスクが取引対象となるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では豪州セクターの保証料が一時、軒並み上昇。市場では「豪準備銀行(RBA、中央銀行)は想定以上の景気減速と政治サイドからの利下げ要求、物価高のはざ間で苦悩するかもしれない」(豪州系銀行の債券アナリスト)との意見もある。
 23日発表の4—6月期の豪消費者物価指数(CPI)伸び率は前期比1.5%と1—3月期の1.3%を超えた。
 一方、住宅問題は米国が震源地。豪州内の不安が米国でのそれを上回る事態は考えづらい。また2007年以降、RBAの金利面での施策などに後手に回った印象は薄い。今後の政策対応への期待感も保たれそうな雲行きだ。
 しかも豪州には資源産出国としての強みがある。世界経済や貴金属相場への見方が「総悲観論」に陥らない限りは景気の底割れ回避が可能とも受け取れる。
 NZでは既に24日、0.25%の利下げが決まり、09年にかけて3回程度の追加緩和を見込むムードが高まった半面で「豪州はせいぜい2回」との声が聞かれた。そうなると豪政策金利は6%台を維持する公算が大きく、28日時点で0.50%の日本や2.00%の米国との格差は開いたままだろう。日本からあふれた利回り重視型の資金などが結局、豪ドル建て資産に戻るとの予想は根強い。(今 晶)

2008年7月29日(火)12:50 個別ページ

米住宅市場、安定に向け試行錯誤


 米国では政府系の住宅金融機関(GSE)の役割や負担軽減に向けた取り組みが始まっている。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)と米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)の経営危機が関連証券の市場の動揺にとどまらず、米金融システム全体への不安にまでいたったとの反省からだ。
 施策にはいくつかの段階がある。最優先課題はマネーのパニック行動を防ぐことだ。GSE発行の債券や住宅ローン担保証券(RMBS)は世界の中央銀行や金融機関が大量に保有しており、信用力低下となれば影響は大きい。米財務省と米連邦準備理事会(FRB)が既に概要を公表している2社の支援法案は週内にもスピード成立する見通し。
 エコノミストからは「株式購入よりも緊急融資に重点を置く可能性が高い」(米国系証券)との声が聞かれた。
 次のステップは民間金融機関などに住宅ローン関連業務の「分担」を求めることだ。各メディアの報道では、米財務省はカバードボンドと呼ばれる社債に近い性質をもつ債券の早期導入を目指すという。カバードボンドは住宅ローン債権などの証券化商品の一種で、ポールソン長官はもともと法制化に乗り気だった。原債務者(住宅所有者など)がお金を返せない状態になった場合、債券購入者は通常、元の貸し手である銀行など発行体に支払いを請求しうる点で一般の資産担保証券(ABS)とは異なる。
 一連の仕組みは責任の所在が明確。リスク管理の面では投資家にメリットが多い。かつてストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)が資金調達のさいに利用したコマーシャル・ペーパーなどのように原資産の実態が判然としない商品に比べれば安心感は段違いだ。
 とはいえ、発行側は担保部分を貸借対照表(バランスシート)内に残すことになる。住宅や信用市場の急回復が見込めない現在、不良債権と引き当て額の増加が体力をそぐ危険と隣りあわせ。カバードボンド問題に限れば「善は急げ」は当てはまりそうにない。市場では「実体経済への対応も含めて米当局の試行錯誤は当分続く」(欧州系銀行の債券ストラテジスト)との予想が支配的だ。(今 晶)

2008年7月24日(木)13:47 個別ページ

ECB、物価高注視も「予断なし」

 ユーロ圏では景気の先行き不透明感が拡大している。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は英米との比較では優位とされるが、物価高がかく乱要因となる構図は同じ。米政府系の住宅金融機関(GSE)を巡る混乱も対岸の火事ではない。金融政策の方向性は見定めづらい情勢だ。
 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は3日、政策金利の引き上げが決まった直後の記者会見で「将来の行動に予断はもっていない」との趣旨のコメントをした。その後も講演などでインフレ警戒色の濃い発言を繰り返す一方、利上げ観測が高まらないよう配慮している。エコノミストなどの間では「金利上昇とユーロ高が景気に悪影響をもたらす事態を避けようとした」との解釈が多い。18日には4—6月期と7—9月期の域内成長に慎重見通しも示した。
 通貨高は輸入物価の観点ではプラスだが、度が過ぎれば輸出依存型の企業がダメージを受ける。政治サイドも容認しないだろう。とりわけユーロ圏は複数の国の集合体で、経済基盤がぜい弱な国も含まれるだけに政策面でのバランスのとり方は難しい。
 ある欧米系通信社が18日、「ユーロ圏高官」の発言として伝えたところでは「1ユーロ=1.60ドル(超のユーロ高・ドル安水準)はECBにとって望ましくない」という。
 しかも足元では信用収縮が継続しており、金融機関の融資の厳格化などから引き締め的状況が起こりやすい。英国では2007年以降、住宅市場の混迷で3度の利下げがほぼ帳消しになった。エネルギーや原材料価格高への対応の遅れは不況下のインフレ(スタグフレーション)を招きかねない半面、金利引き上げの「負の作用」が物価の抑制効果を超えてしまっては本末転倒だ。
 ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が15日発表した7月の独景況感指数の期待指数はマイナス63.9と、1991年冬の算出開始以来の最低だった。ZEW指数は投資のプロやエコノミスト、アナリストの認識をあらわしており、回答者が統計などの各種情報に明るい分、悲観論に傾きがちな面はあるものの軽視はできない。今後、ユーロ圏金融政策の難易度は英米並みに上がるかもしれない。(今 晶)

2008年7月22日(火)11:16 個別ページ

カナダ中銀、強まる「米景気懸念」

カナダ銀行(BOC、中央銀行)は15日、政策金利を3.00%に据え置くことを決めた。声明はインフレ警戒色が濃い半面、米景気の低迷長期化と金融市場の混乱継続への不安もにじむ。かじ取りの難易度が増してきた印象だ。
 カナダ中銀は6月に物価重視の姿勢を明らかにしたばかり。当時よりもエネルギーや原材料の価格高は進んでいる。資源産出国カナダの経済へのプラス効果を考慮すれば本来、インフレを抑える目的の利上げシナリオが浮上してもおかしくない。しかし、商品相場高で「お得意先」の米国の景気が冷え込んでは元も子もない。カナダ東部には米企業との関係が深い製造業が集まる地域も存在する。
 また、米金融システムの動揺はカナダの住宅市場などにも悪影響を及ぼしかねない。

 BOCは15日公表の声明で、米経済の動向について「潜在成長率を上回るペースに回帰するのは2009年初め以降」との見通しを示したうえで08年のカナダ国内総生産(GDP)伸び率の予測数値を1.0%、09年を2.3%に設定した。4月時点では1.4%と2.4%だった。2010年は3.3%に保ったものの不透明感は残る。
 エコノミストの中では「公式見解では米景気の行方を比較的楽観視している様子だが、08年のGDP予想の見直し幅が大きいことから、本音では『マイナス思考』のほうがもう少し強いのではないか」(欧州系銀行)とのうがった解説も聞かれた。
 外国為替市場では「米ドル安」の圧力がかかった分、カナダドルの対米ドル相場も強含み。それでも直近高値は15日に付けた1米ドル=0.99カナダドル台後半と6月上旬以来のカナダドル高水準にとどまる。この間にユーロ・ドルが過去最高値圏まで急伸したほか、オーストラリア(豪)ドル・米ドルが1983年以来の豪ドル高水準まで値を上げたのに比べると上昇ペースの鈍さが目立つ。シカゴ通貨先物市場でも投機的な買い持ち高形成はユーロや豪ドルよりも遅れる傾向が見られる。20世紀前半、米国中心に広がった経済圏「米ドルブロック」との連想が改めて働きやすい状況だ。(今 晶)

2008年7月17日(木)16:44 個別ページ

豪ドル、リスクマネーの需要健在

外国為替市場ではオーストラリア(豪)ドルの人気が相変わらず高い。金利選好資金などの買い持ち高は相当積み上がったが、豪ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の優位性が意識される中では反動安への懸念も弱めだ。日本の「過剰流動性」や原油高などで投資家がリスク許容度を保った点も豪ドルにはプラス。米景気テーマの米ドル売りが起こるさいには代表的な受け皿通貨になっている。
 豪ドルの対米ドル相場は前週末11日の欧米市場で1豪ドル=0.97米ドル台に乗せ、1983年以来の高値水準を付けた。米財務省・米連邦準備理事会(FRB)が13日、政府系の住宅金融機関(GSE)の米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)と米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)2社への支援策を表明すると米ドルの買い戻しが広がったものの、結局、持ち高整理の域を出なかった。豪ドル・米ドルはその後の欧米市場で再び上値を試している。
 冷静に考えれば豪経済も物価高起点の失速と無縁ではない。豪準備銀行(RBA、中央銀行)が春先に提示したシナリオ通り、家計や企業部門の景況感悪化と実際の消費後退が進んでいる。一方、豪州の稼ぎ頭である貴金属の価格上昇の傾向も持続。輸出が景気を下支える構図も崩れてはいない。10日発表された6月の豪雇用統計で新規雇用者数は前月比で約3万人増えたほか、失業率は4.2%と5月よりも0.1%改善していた。 
 仮に原油などの値段が今後、各国経済の環境悪化に耐え切れず下落したとしても「相場調整に景気の刺激効果があることから豪不況やRBAの継続利下げまでは想定しづらい」(豪州系銀行のエコノミスト)との見方が可能だ。株安一服が中東マネーなどの勢い鈍化の緩衝材となるようなら絶対的な金利格差が物を言う。
 ある外国証券の顧客担当者は「ニュージーランドや英国、カナダといった高金利や資源産出国のライバルに失点が目立つ現在、2007年後半以降のような信用収縮が再現しない限りは豪ドル需要も衰えない」と話す。「これらの国との格差が縮まるのは09年に入ってからではないか」という。豪ドルが主要国通貨間での「首位争い」に絡む展開はしばらく続きそうだ。(今 晶)

2008年7月15日(火)15:18 個別ページ

円、波乱狙い「期間限定」の解釈

 外国為替市場では円やドル、ユーロの方向性が定まりづらい情勢となった。日米欧がそれぞれ景気や金利の面でマイナス材料を抱えているからだ。通貨オプション絡みでも長期投資家の気迷いムードが拡大。回転売買型の投機筋の動きに翻弄(ほんろう)される場面が目立つ。
 ヘッジファンドの中には最近、短期で波乱狙いのオプション取引に傾くところがある。例えば権利行使価格が同じで同一期間物の円・コール(買う権利)とプット(売る権利)を同額買い、設定水準とかい離すればするほど多額の収益を得られる「ロング・ストラドル」や、行使価格が異なる同一期間の円・コールとプットを同額購入する「ロング・ストラングル」などだ。直物でも仕掛け的な円買いを進めることが多いため、しばしば荒れ相場の予兆になる。
 8日のアジア夕刻の取引時間帯で、株安連動型の円買い・欧米、オセアニア通貨売り圧力が強まる前にもオプションの予想変動率は上昇傾向だった。
 半面、一連の行動はリスク許容度が保たれてこそ。長い目で見ればコストが安い円借り入れベースの高金利通貨運用(いわゆる円キャリー取引)が膨らみやすい環境といえる。「大相場」前提のオプション・直物戦略の増加は逆説的ながら、円の上値余地が縮まったことの傍証とも受け取れる。
 ある外国銀行の通貨ストラテジストは「エネルギー価格高は世界的な問題ゆえに今後、各国の景気に明確な差異は生じづらい」との見通しを示したうえで、為替については「経済基盤の優劣に着目するよりも利息収入の確保に徹したほうが勝率はいいかもしれない」と話していた。2007年半ばまでの「金利相場」時に近い理屈だ。
 市場には「欧米の高利回り商品は『実質金利』(名目金利からインフレ率を差し引いたもの)の観点では投資妙味が薄い」との声も出ている。ただ、実質金利は為替の価値に反映されるまで非居住者にはあまり関係がない。日本の早期の低金利脱却が遠のく中、英国やニュージーランドなど景気不安が相対的に濃い国の通貨も円に対してだけは先安観が高まらない様子だ。(今 晶)

2008年7月10日(木)12:03 個別ページ

アイスランド、「薄氷」景気続く

欧州のアイスランドでは景気の先行き不透明感がいっこうに解消されない。歴史的な高金利にもかかわらず物価の上昇傾向が続いているためだ。しかも小国ゆえにけん引役となる産業には乏しく、「頼みの綱」の欧米のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)も磐石ではない。事態は依然として深刻だ。
 アイスランド中央銀行は前週3日、政策金利を過去最高の15.5%に据え置くことを決めた。現状維持は2回連続。アイスランドのインフレ率はこのところ十数年ぶりの高い水準で推移しており、通貨クローナの先安懸念がくすぶるとあってエコノミストの間では「一段の利上げ実施は避けられない」との声が多い。しかし、引き締めスタンスが景気悪化を助長する可能性は日増しに強まっている。「中銀は対応が後手に回る『ビハインド・ザ・カーブ』のリスクを承知のうえで様子見姿勢を保った」(欧州系証券)ようだ。
 当局には金融システムや信用市場の「環境整備」を優先すべきとの考えが働いたのかもしれない。ある大手通信社のデータによると、アイスランド大手銀3行の2007年末の資産額合計は同国の実質国内総生産(GDP)の9倍程度。中には自己資金の約8割を外貨建て運用につぎ込んでいた銀行も存在したという。事は一国の問題にとどまらないだけに速やかな対策が求められるというわけだ。
 実際にアイスランド中銀は5月中旬、フィンランドを除く北欧3カ国の中銀とユーロ資金を融通しあう目的の通貨スワップ協定を締結。政府サイドはユーロ建て債券の発行増などで外貨準備を積み上げる施策に前向きとされる。需給面では通貨安加速の危険と隣り合わせだが、流動性の供給体制が確立したと判断されればパニック的なマネー流出は起こらないはずだ。
 半面、アイスランド金融市場の規模が自国の投資家の需要すら満たせないほど小さいとの現実は揺るがない。混乱への抵抗力も弱いままだろう。長期スタンスで安全志向の濃いお金がアイスランドを迂回(うかい)する構図に当分変化はなさそうだ。(今 晶)

2008年7月 8日(火)14:06 個別ページ

各国外貨準備、「ドル優位」継続

 国際金融市場では「基軸通貨」としての米ドルの存在感が相変わらず高い。米実体経済と米証券市場の信認低下が進んだとはいえ、各国政府・中央銀行の外貨準備の運用比率見直しが緩やかなペースにとどまることなどからユーロの台頭に対して抵抗力を発揮している。
 国際通貨基金(IMF)が6月30日公表した各国外準の通貨構成データ(COFER)最新版によると、2008年3月末時点での外貨準備額(速報)はドル換算の合計で6兆8739億2000万ドル。07年12月末の改定値(6兆3964億ドル程度)よりも4000億ドル超増えた。通貨別割合では内訳が明らかになった分だけで算出するとドルが07年12月の約64.0%に対して63.0%に下がり、ユーロは26.4%から26.8%まで伸びた。勢いの面ではユーロの勝ちだ。
 一連の変化は為替動向を反映している。ユーロの対ドル相場は07年12月末の1ユーロ=1.45—47ドル台から08年3月末には1.57—58ドル台まで急伸。上昇率は8%程度で、ドルベースでのユーロ建て資産残高も自動的に膨らむ。新規にユーロを積み増したとは限らない。また、ユーロ比率の調整目的でドルを買い直したケースもあるはずだ。08年3月末のCOFERはユーロ・ドルが上り歩調だった割にはドルが健闘したことを示したともいえる。
 対ドルでのユーロ高傾向は4月以降も持続しているが、一方で米景気への過度の悲観論が緩和。中長期的なドルの先安観も3月中旬—4月中旬のピーク時に比べると後退した。ユーロ圏経済に先行き不透明感が広がってきたことも影響している。各国の外準マネーが今後、「ドル離れ」を加速するとも考えにくい。
 波乱要因とすれば中東産油国の動き。原油高などで資金膨張とインフレの圧力が強まる半面、米ドル連動型の通貨制度(ドル・ペッグ制)を導入している国が多いため、現段階では引き締め的施策には傾斜しづらい。米景気がどの程度持ち直すかにもよるが、親米国サウジアラビアなども含めて枠組み変更の可能性は残る。現実となれば投機的なドル売りの基点となりかねないほか、政府のドル保有の意欲も薄れるとの見方が出ている。(今 晶)

2008年7月 3日(木)18:15 個別ページ

「高金利国通貨」の人気度変遷

国際金融市場ではここ数週間、低金利国の日本から欧米、オセアニア諸国への資金移動が調整を交えつつ進行している。商品価格高で潤うマネーが円借り入れベースの投資を一部復活したほか、日本勢の外貨志向も回復基調。半面、米実体経済や各国株価の先行き不透明感も依然として強い。2007年の「金利相場」時のような円売り一辺倒のムード再来は見込み薄だ。
 先進国中で比べた場合、絶対的な金利水準ではニュージーランド(NZ、政策金利は1日時点で8.25%)と豪州(7.25%)、英国(5.00%)が優位。ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)が7月3日に開く定例理事会で4.25%の利上げ実施を決めるとの見方が多い。ところが市場での人気はこの順番通りにはなっていない。英国とNZでは近い将来の景気失速を懸念する空気が残り、英ポンドとNZドル建て資産への需要は豪ドルとユーロに相当遅れをとっている。
 ユーロの対円相場は26日に一時1ユーロ=169円台半ばと導入来高値を更新。豪ドル・円は同日、1豪ドル=103円台後半まで買われて07年11月以来の円安・豪ドル高水準を付けた。一方、英ポンドの直近高値圏は1ポンド=213円台と、3月安値の192円台からの戻り幅は20円を超えたが、年初は220円を上回っていただけに物足りない。NZドルにいたっては1ドル=80—81円ゾーンでの「レンジ相場」が長引き、結局は円売りの波に乗り切れなかった。
 市場では「NZドルはこれまでにも何度か金利観の変化に動揺した経緯があり、利下げ観測が高まった現状では相場の腰は弱い」(外国証券の顧客担当者)との慎重意見が出ている。英国では物価高への対処圧力がかかる中、引き締め的施策が景気冷え込みを助長しかねないとの不安がユーロ圏などよりも濃いことが影響したと見られる。
 短期スタンスの投機売買や日本の外国為替証拠金取引(FX)で主流のレバレッジ投資(運用額を自己資金の数倍—数十倍に膨らませる手法)では高利回り通貨を選ぶ傾向があるものの、反対方向への値動きにはもろい。基調判断のさいにはあまり参考にならない。また、リスク管理の厳格化は今後も進む見通し。英ポンドやNZドルの出遅れ感は簡単には解消されそうにない。(今 晶)

2008年7月 1日(火)12:54 個別ページ
1 | 2 | 3 | 4 | 5  

外為どっとコムからのご案内

外為どっとコムTwitter